価格を引き上げても売れる「都心・駅近」物件のニーズ

 デベロッパーとしては、マンションなどの原価がアップして、それを価格に転嫁、分譲価格を引き上げざるを得ない環境だが、比較的価格を上げやすい物件や場所がある一方で、上げにくい物件や場所もある。

 最も価格の引き上げが受け入れられやすいのが、都心の駅近物件だ。事実、【図表4】にあるように、建築費の上昇に対応して「都心・駅近」物件の供給を増加させるとするデベロッパーが半数近くに達している。


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 調査分析に当たった三菱UFJ信託銀行では、「需要層が厚く消費者が価格上昇を受け入れやすい都心、とりわけ駅近立地にデベロッパーは新築マンションの供給を集中させる動きが生じている」としている。

 もちろん都心の駅近物件は高額物件が多くなるが、それでも価格の引き上げ余地は大きいという。都心物件には相対的に高所得の世帯のニーズ、金融資産の保有が多い世帯の実需、投資目的の非実需など需要層が厚いので、土地の仕入れ値や建築費などマンション原価の上昇分を価格に転嫁しても、十分に売れるという計算が成り立つわけだ。

 それに対して、比較的リーズナブルな価格帯で分譲される郊外のマンションは、価格の引き上げが売れ行き鈍化につながりかねないので、デベロッパーとしては開発に二の足を踏むことになる。