価格が下がっても金利上昇の影響が上回る可能性大

 そこで、住宅ローン金利の上昇と、住宅価格の下落による借入額の減少が同時に起こった場合、購入時の負担がどうなるのかをシミュレーションしたのが【図表2】だ。


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 変動金利型の住宅ローンを0.3%で利用できる場合、35年元利均等・ボーナス返済なしで、1億円の借り入れが必要な物件を買うと、毎月の返済額は25万円ほどになる。

 これが、価格が下がって借入額が9500万円で済むようになると、金利0.3%では毎月24万円弱に減少、1万円以上も負担が軽減される。さらに、もっと下がって9000万円の借り入れでOKとなれば、返済額は22万円台の半ばになり、8000万円の借り入れだとおよそ20万円の返済負担にまで軽減される。

 つまり価格が2割下がって、借入額が2割減れば、返済額も約2割少なくなる計算なので、購入意欲が高まるのは間違いないだろう。

 ただし、これは金利が0.3%のままで変わらないとした場合のケースである。価格下落の要因になるのが住宅ローン金利の上昇であれば、それによる返済負担の増加も考慮しなければならない。

 金利0.3%で1億円の借り入れだと毎月25万円強の返済額だが、借入額が9500万円に減少したとしても、金利が0.6%に上がると毎月25万円強で返済額はほとんど変わらないことになる。

 0.8%、1.0%と上がるにつれて、返済負担はむしろ重くなってしまう。仮に1.0ポイント上がって1.3%になると、9500万円の借り入れに減ったとしても、返済額は28万円台に増えてしまい、かえって購買力の低下につながる可能性が高い。

 さらに、価格が1割下がって借入額が9000万円で済むようになると、0.3%の金利では毎月22万円台の半ばの返済負担に軽減されるが、それでも金利が0.5ポイント上がって0.8%になると、24万円台の半ばの返済額に増え、1.0ポイントのアップで1.3%になると26万円台の後半に増えてしまう。

 これでは価格が下がっても、金利上昇の影響のほうが上回り、返済負担が重くなるのだ。