金利上昇のリスクが高まる住宅ローン

 日銀がマイナス金利政策の解除を決めたことにより、いよいよ利上げによる住宅ローンの返済額増加を不安視する声が高まっている。2023年までは固定金利型の住宅ローンの金利が上昇したが、いよいよ変動金利型の金利も上昇が始まりそうだ。すでに変動型の住宅ローンを利用している人にとっては返済リスクが高まっているので、早めに対策しないとローン破綻に陥りかねない。

>>【グラフ】借り換えによる毎月返済額の増減(金利タイプ別)ほか

今こそ家計管理の徹底で預金を増やしておくことが重要

 住宅ローンには大きく分けると、市中の金利動向にかかわらず金利や返済額が変わらない「固定金利型」と、市中の金利動向に応じて金利や返済額が変わる「変動金利型」がある。現状では、変動金利型なら0.3%台、0.4%台で利用できる金融機関が多いのに対して、固定金利型の固定期間の長いものは1%前後から2%近い水準となっている。

 そのため、金利の低い変動型を利用している人が大部分だが、変動型は金利が上がれば適用金利も上昇し、返済額が増えるリスクがある。3月19日に日銀がマイナス金利政策の解除を発表したことで、そのリスクがいよいよ高まりそうだ。返済額の負担増でローン破綻に追い込まれないためにも、今のうちにリスク対応力を身につけておく必要がある。

 実際に金利が上がり始めて返済額が増えるまでには少し時間があるので、変動型を利用している人は、金利の低さを生かして家計管理を徹底し、できるだけ預金を増やしておくことが重要だ。手元に自由になる現預金が豊富にあれば、金利上昇で返済額が増えたとしても、余裕資金を取り崩しながら生活を維持できるし、その一部を住宅ローンの一部繰り上げ返済に回して、返済負担の増額を抑制することもできる。

 住宅ローンの一部繰り上げ返済というのは、毎月の返済額とは別に一定額を余分に元金返済に回して、残りの返済期間を短縮したり(期間短縮型)、毎月の返済額を少なくする(返済軽減型)仕組みだ。期間短縮型は毎月の返済額は変えずに残り、返済期間を短くする方法で、返済軽減型は残りの返済期間は変えず、毎月の返済額を少なくする方法だ。

 どちらも通常通り返済を続けるのに比べると、完済までに支払う利息を少なくできる点は共通しているが、利息をカットできる効果は期間短縮型の方が大きい。そのため、こちらを利用する人が多いが、当面の返済額を減らしたいなら、返済軽減型を利用するのがいいだろう。