今後「供給戸数の絞り込み」を行うデベロッパーも

 では今後、金利がいつ、どれくらい上がるのか、また金利上昇によって価格低下がいつから始まり、どの程度下がるのか――専門家でも正確に言い当てるのは至難の業なので、あまり考えすぎると、いつまでもマイホーム購入のタイミングを逸することになりかねない。

 この価格、この金利なら十分購入できるという範囲で、気に入った物件が見つかったなら、その時が買い時と考えるのがいいのではないだろうか。なぜなら、今後は金利や価格の上昇だけではなく、さまざまな環境変化による住宅市場の見極めが難しくなってくるからだ。

 例えば、先の三菱UFJ信託銀行のデベロッパーを対象とした調査では、金利上昇が新築住宅の供給に与える影響についても質問している(【図表3】参照)。


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 住宅ローン金利が0.5%上がった場合には、購買力の低下につながりかねないので、デベロッパーとしては、供給戸数の絞り込みを行う可能性が高い。そのため、調査では「供給戸数が減少する」と答えたデベロッパーの合計が77%に達していて、8割近いデベロッパーが供給は減るだろうと予測している。

 消費者の側からすれば、それだけ選択肢が減ってしまうわけだから、価格が下がっても欲しいと思う物件がなかなか見つからない事態にもなりかねない。

 住宅価格は、土地の仕入れ値に関する地価の動きや建物の建築費の動向も大きく影響してくる。現状ではそのどちらも上昇が続いており、特に建築費については「2024年問題」の人手不足が重くのしかかり、建築費の押し上げ要因になっている。