(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年6月20日付)
2人の男性候補者の年齢を単純に足し合わせると、米国という共和政体ができてから経った年数の3分の2に相当する。
そんな2人のディベートをどのように取り仕切るのか。この問いに主催者が出した答えは、
(1)観客を入れない、
(2)一方が話している間は他方のマイクの電源を切る、
(3)コマーシャルと称してトイレ休憩をはさむ、というものだった。
27日に開かれるジョー・バイデンとドナルド・トランプの討論会は雌雄を決するぶつかり合いになると言うのは、言い過ぎだろう。
しかし両者は接戦を戦っており、それぞれの知的能力に注目が集まっていることから、非常に重要なイベントになる。
ケネディvsニクソンの例はトランプ優位示唆
直接対決のディベートが米国大統領選挙の結果を変えたとされる例は3度しかない。ただいずれも、開催されたのは投票日の数日前か数週間前だった。
バイデンが過去に比べて早い時期にディベートを開催するよう求めた理由は、今日では郵便で投票する有権者が非常に多いからだった。
実際は、世論調査では今ごろ差がついているはずだったのにそうなっていない、この行き詰まりを早く打破したい、というのがバイデン陣営の本音だろう。
バイデンが自分の年齢にまつわる疑念を終息させ、トランプがどういう人物かを有権者に思い出してもらうことができるのなら、それは早ければ早いほど良いというわけだ。
過去の事例から読み取れるメッセージはまちまちだ。
史上初のテレビ討論は1960年、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンの間で行われた。これはトランプが優位に立てることを示唆する事例だ。
討論をラジオで聞いた有権者はニクソンの勝ちだと考えたが、テレビで見た人々はケネディに軍配を上げた。
対照的だったのはニクソンに「5時の影があった」、つまり夕方になってひげが目立ってきていたのに対し、ケネディからは若さがあふれていたことだった。
この違いは、今日で言えばテレビを消音モードにするか否かに相当するだろう。元気があるように見えるのはトランプの方だ。
本選挙の得票数はケネディが3420万票、ニクソンが3410万票だった。