過去の実績ならバイデンが勝つはずだが

 過去の実績で比べるなら、バイデンがトランプを下すはずだ。2020年の討論では、2回ともバイデンが勝者と判定された。

 これはトランプが、とりわけバイデンの息子ハンターの不品行に言及したことによって不興を買ったためでもある。バイデンが「いい加減、黙れ」と言ったことも好感された。

 いずれにしても、トランプは敗北に向かっていた。

 2016年の選挙前のディベートでも、トランプは話の内容と高圧的なボディー・ランゲージの両方で低い評価を受け、ヒラリー・クリントンに敗れている。それにもかかわらず、本選挙ではクリントンを降した。

 なぜそうなったかについては、トランプ政権下で連邦捜査局(FBI)長官を務めたジェームズ・コミーを引き合いに出すと説明しやすい。

 とはいえ民主党側も、27日の討論会でバイデンが演壇に上がるときになってもドキドキすることはないなどと言ったら、ウソになるだろう。

 本当にマイクの電源を切れるかどうかテストするのは、多分時代遅れだ。それよりは、TikTokやインスタグラム・リールに目を向ける方がいい。国民の多くはこれらの動画サービスで討論会を見ると予想されるからだ。

 今年3月にバイデンはエネルギッシュな一般教書演説を行ったが、数百万人が見たのは、ある殺人事件の犠牲者の名前を大統領が言い間違えた場面を切り取った15秒の動画だけだった。

 演説の模様をテレビで見た国民と、ほんの短い切れ端しか見ていない国民との間にある感じ方の違いは大きい。

 バイデンが27日、「バイデンらしさ」のにじみ出た、切り取って動画にできる場面をいくつか残すことは間違いない。