(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年6月3日付)

経営者の多くは外部の経営分析を鵜呑みにしがちだ(Gerd AltmannによるPixabayからの画像)

 筆者は以前、当時ドットコム革命と呼ばれていたものの真っただ中で収益の低下と読者数の減少について心配している米国の大手雑誌社に勤めていた。

 取るべき対策について分析するために、経営幹部は大手経営コンサルティング会社を起用することにした。

 何カ月間も会議が重ねられ、数百万ドルの手数料が払われた後、評決が下された。

 どうやら、我々にはもっと良い記事のアイデアが必要なだけだった。言うまでもなく、この賢明な助言は読者も雑誌も救わなかった。

コロナ下で好況に沸いたコンサルの減速

 この経験とほかの理由から、筆者は常に経営コンサルティングに懐疑的だった。

 まず、「測定できるものであれば管理できる」というビジネスに対するアプローチは、あまりにも多くの要素を見落とす。

 投入原価や株価など、個別に算出できるものはある。一方で、文化や忠誠心、創造性といったものは計算できない。

 次に、責任転嫁の問題がある。

 企業は往々にして、難しい経営課題に対する解決策がうまくいかなかった時に誰かを責められるようにするためにコンサルタントを雇う。

 ここに人工知能(AI)がますますコンサルティング業務の下部の仕事をこなせるようになった事実を加えると、これは長期衰退に入ろうとしている職業なのかもしれない。

 その兆候は至る所に見られる。

 ベイン・アンド・カンパニーやマッキンゼー・アンド・カンパニーといった企業は、従業員を削減し、退職を促す奨励金を出している。

 デロイトとアーンスト・アンド・ヤング(EY)はコストを削減し、組織を再編している。

 業界全体で、かつてお金が潤沢だったところに新たな節約意識が生まれている。

 新型コロナウイルスのパンデミックの最中、サプライチェーンの問題から在宅勤務へのシフト、景気サイクルの不確実な性質まですべてのことに対処するために企業が必死に助けを求めた時にコンサルティング業は好況に沸いたが、今では減速している。

 米ケネディ・コンサルティングの業界モニター報告によると、売上高の伸び率は昨年、前年から半減して5%まで落ち込んだ。