(英フィナンシャル・タイムズ紙 2025年4月15日付)

ホワイトハウスは中国の習近平氏に電話をかけてきてほしいようだが・・・(写真は4月8日、キャロライン・レビット大統領報道官によるプレスコンファレンス、写真:UPI/アフロ)

 疑わしい時にはブロック体の大文字を使うといい。

 ドナルド・トランプは13日、「NOBODY is ‘getting off the hook’(誰も『難を逃れる』ことはない」と投稿した。

 これは米国がスマートフォンと家電製品を関税の対象から除外することを明らかにした先の発表への紛らわしい追加説明だった。

 この適用除外自体が、中国からのすべての輸入品に145%の「相互関税」をかけると発表した前週の政策からの転換だった。

 そして、この政策自体が、ほんの数日前に発表された関税率を劇的に引き上げる内容だった。読者の皆さんは話についていけているだろうか。

米中が繰り広げる関税ポーカーゲーム

 成り行きをそれとなく見守っている人は、関税政策のこうした唐突な変更はホワイトハウスのカオスの証拠だと考えるかもしれない。

 トランプファンの考えは違う。

 金融界の大物のビル・アックマンは以前の唐突なUターンを「鮮やかに実行された・・・教科書通りのディールの技巧」と称賛した(編集部注:『The Art of the Deal』はトランプ自伝の原題)。

 最も熱心なトランプ支持者は相変わらず、大統領は手練れの戦略家だと主張している。

 そうではないと言う人は「トランプ錯乱症候群(TDS)」を患っていると批判される恐れがある。

 残念ながら、筆者はまだTDSに侵されている(ワクチンは禁止された)。

 熱に浮かされた筆者の頭で考える限り、トランプは中国を相手に繰り広げている関税ポーカーゲームで、自分が持っていると考えていたカードよりはるかに弱い手札しか持っていない。

 トランプがこれをはっきりと認めるのに時間がかかればかかるほど、トランプ自身と米国が失うものが大きくなっていく。

 トランプとその配下の「貿易戦士」が起点とするのは、関税をめぐる紛争では中国が自動的に不利な立場に置かれるという想定だ。

 財務長官のスコット・ベッセントは、中国は「2のペアで勝負している・・・(中略)我々が向こうに輸出しているものは向こうが輸出してくるものの5分の1に過ぎないため、これは相手にとって不利な手札だ」と主張した。