今回の都知事選では、蓮舫はいち早く出身母体の立憲民主党、そして共産党の推薦を明らかにした。しかし、小池百合子に関しては、自民党の推薦を受けることもなく、確認団体を作って、それを隠れ蓑にして、裏で自民党が支援するという戦術のようである。

 それは、派閥の裏金問題で国民から厳しく批判され、岸田内閣も自民党も政治率が低下しているからである。小池は、世論を気にしてその不人気な自民党に「抱きつかれる」ことを嫌う。一方、各種選挙で負け続けている自民党は、今のところ優勢が伝えられている小池を支持して、敗戦記録を終わらせたいのである。

 この一連の動きは、まさに政党隠しである。現代民主主義の基礎は政党政治である。政党隠しは、その根本を揺るがすことになり、ポピュリズムの跋扈を許すことになってしまう。

学歴詐称疑惑

 小池百合子の元側近である小島敏郎弁護士は、4月に月刊誌に寄稿して、学歴詐称の隠蔽工作に加担したという事実を暴露したが、6月18日に、虚偽の学歴を記載したとして、東京地検に小池の告発状を提出した。

 これまでも、小池は「カイロ大学を卒業していない」という証言は当時の彼女を知る人々から明らかにされてきた。私自身も、その件については、40年前に彼女に騙されている。

(参考)40年前、私に学歴を「詐称」した小池都知事(JBpress 2024.4.17)

 学歴詐称疑惑潰しの裏工作を実行した側近による今回の暴露、そして告発はたいへん重い。

 しかし、小池は、「大学が、卒業したと言っている」とこれまで通りの反論をし、選挙妨害だと息巻いた。そして、選挙公報に、これまで通り「カイロ大学卒」と記した。

 欧米先進国だったら、彼女は一発アウトで立候補できないのみならず、公職からも追放される。マスコミも黙ってはいないし、有権者も厳しい。エジプトでは卒業証書や成績証明書の偽造は日常茶飯事であるが、それだから許されるというわけではない。コピーではなく、本物の書類を公にして、疑惑を払拭する義務がある。「名誉博士号」のようなもので「名誉卒業生」だというのなら、そのことを明らかにすべきである。

 50年間にわたって嘘で固めてきた虚飾の人生をこれからどうするのかは本人の自由であるが、権力を握る以上、その弊害は国益、国民の利害に直結する。エジプトに頭が上がらないからである。国政に復帰することなど、外交防衛が国政の専管事項であるだけに、絶対に許されない。