(黒木 亮:作家)
昨日(6月18日)午前9時、元東京都特別顧問で弁護士の小島敏郎氏が、小池百合子東京都知事を学歴詐称(公職選挙法の虚偽事項公表罪)で刑事告発する告発状を東京地検に提出した。
小池氏が、カイロ大学卒業という虚偽の経歴を50年近くにわたって使用し、カイロでの同居人である北原百代氏らの告発や議会での質問に対して、まともな反論や詳細な説明をせず、有権者を欺き続けており、情状はきわめて重いとして、告発に踏み切ったという。
告発に続き、小島氏は参議院議員会館内で記者会見を開いた。同氏は、学歴詐称の根拠として、卒業証書に書かれたヒジュラ歴(イスラム歴)の年が間違っていることや、卒業証明書の小池氏に関わる動詞や形容詞が男性形で書かれ、監督統括官の署名もないなど、書類上の瑕疵が複数あることを指摘している。さらに北原百代氏の証言、小池氏が主導的役割を果たして発出工作をしたカイロ大学声明なども詐称の根拠であるとし、本件は、外国政府の関与や影響で日本の民主主義が歪められる恐れがある重大な事案であると指摘している。
刑事告発が不当なら、誣告罪や名誉毀損で訴えるのが普通
これらは筆者らも長年にわたって指摘してきた点で、ようやく司法の判断を仰ぐ道筋がつけられたことは感慨深い。小島氏は、知り得る限りの関係者の名前も含めて告発したと述べているので、今後、カイロ大学声明の発出工作に関わった元ジャーナリストのA氏などが、小池氏や樋口高顕千代田区長(都民ファーストの会)らの工作の経緯を明らかにするはずだ。
告発について、小池氏は昨日、報道陣の取材に対し、「選挙に入るにあたってそのような行動をされるのはいかがなものか」と述べただけで、反論らしい反論や批判らしい批判もしなかった。下手に相手を刺激して、名誉毀損等で訴えられ、民事で司法の場に引きずり出されるのを恐れているのは従来通りである。
【小池百合子都知事の学歴問題について詳述した黒木亮氏の連載はこちら】
◎徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈1〉 「お使い」レベルのアラビア語
◎徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈2〉 卒論の”嘘”
◎徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈3〉エジプトで横行する「不正卒業証書」
◎徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈4〉 「不正入学」というもう一つの疑惑
◎徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈5〉 カイロ大学の思惑
◎【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符