最大の問題は、都庁記者クラブでの会見では、小池氏が質問者を指名するため、気にくわない質問をした記者は次から指名せず、商売上がったりにするという手法で記者クラブを支配し、「喜び組」化していることだ。

学歴詐称疑惑を報じることはメディアの国家に対する義務

 最近、唖然とさせられたのは、学歴詐称の隠蔽にメディアがあからさまに加担した事案である。

 朝堂院大覚氏の会見の翌日、知事選出馬を明らかにした小池氏に対するぶらさがり会見で、元朝日新聞記者で現在はフリーの佐藤章氏が「昨日、朝堂院大覚さんが…」と質問を始めるや否や、それにおっかぶせるようにテレビ朝日の島田直樹記者が「今日は勝負服の緑色の服を着ておられませんが、その理由は?」という、どうでもいい質問をして、佐藤氏の質問を遮り、うやむやにしたのである(あまりにも質問が下らなかったので、小池氏ですら笑っていた)。

東京都知事選への出馬表明後、記者団からの質問に答える小池百合子知事。この服装にテレビ朝日の記者は「今日は勝負服の緑色ではないが」と質問し、学歴詐称疑惑に触れようとしたたフリーランス記者の質問を潰した=6月12日(写真:時事)

 島田記者がやったことは、権力のチェックというメディアの役割の真逆を行く言語道断の振る舞いで、懲戒処分すべきだと筆者は考える。

 小島敏郎氏は以前(4月17日)、日本外国特派員協会での記者会見で、「日本の記者と記者クラブ対して、絶望していると同時に大いに期待もしている」と述べた。

 小池氏の学歴詐称疑惑は国家の安全保障や民主主義の根幹にかかわる重大な問題であり、これを報じることは、メディアの重大な責務であると筆者は考える。