トランプ裁判で学ぶ日米司法制度の違い

 今回の「やさしく解説」には、「大陪審」「陪審員」「訴追」「評決」など日本の裁判ではあまり聞かれない言葉が登場しています。日本と米国の司法制度が大きく異なっているためで、トランプ氏の裁判をつぶさに見ていくと、日米の違いがよく表れています。

 米国の刑事裁判は連邦も州も陪審制です。事実認定を担うのは一般市民から無作為に選ばれた陪審員です。陪審員は提出された証拠物を吟味し、検察側と弁護側の応酬に耳を傾け、事実認定を行ったうえで被告人の有罪・無罪を判断します。これが「評決」です。被告人を有罪とする評決が出ると、裁判官は量刑を決め、「判決」を言い渡します。

 陪審制は司法への市民参加のひとつの形です。独裁者に操られた裁判所が恣意的な判決を言い渡すようなことのないよう、地域住民の常識的な判断で市民の自由を守ろうとする制度です。日本の裁判員制度も司法への市民参加が狙いですが、事実認定と量刑を裁判員と裁判官が一緒に行うところが米国と違う点です。

 起訴の手続きも日本とは大きく異なります。連邦裁判所では、検察が重大事件を刑事裁判にかけようとする際には、裁判所に設置される「大陪審」に証拠などを提出する「訴追」を行います。

 その事件を起訴するかしないかを決めるのは、市民で構成された大陪審なのです。連邦裁判所だけでなく、ニューヨークを含む約半数の州でも裁判所は大陪審制度を導入しています。起訴も評決も市民が決める。それが米国の司法制度の基本です。