終了後、温泉で疲れを癒やして帰ることも

 実際、5月の大型連休期間中は予約が大変多く満席となり、1日で計120人以上が参加した。開始時刻が夕方から設定されているので、車でその日のうちに首都圏に帰ることも可能だ。ファミリーやカップルも気軽に参加できるコンテンツだろう。発着地点の「峠の湯」は天然温泉で、時間によっては終了後に温泉で体を癒して帰ることもできる。

 また、当初の想定よりも群馬県内からの参加者が多く、このイベントで国の重要文化財に指定された鉄道遺産が地元にあることに初めて気づいた人もいたようだ。“シビックプライド”の観点からも望ましいスタートと言えよう。

夜の廃線トンネルという非日常なイベントに参加する子どもたちも多い(写真提供:安中市観光機構)

鉄道廃線のインフラそのものをフルに活用

 この企画に立ち上げから携わり、自身ガイドも務める安中市観光機構の上原将太氏によると、これまで「廃線ウォーク」に参加していなかった参加者が目立つことから、新たな需要に今後への手応えを感じているという。

 当イベント開催にあたってのさまざまな準備も上原氏を中心に進められた。特筆すべきはプロジェクションマッピングの映写に際して、廃線沿いの樹木や、トンネル内の側壁、築堤、法面など、鉄道廃線のインフラそのものをフルに活用した点だ。

 近い将来、周辺温泉(磯部温泉など)からの夕食後のオプショナルツアーとして選択肢に上がるようになれば、滞在泊数の延長という宿泊施設にとって望ましい展開にもつながるだろう。