中古住宅の価格下落が進み、たちまち担保割れに

 しかも、これまで上がり続けてきた住宅価格が下落し始めている。不動産専門データバンクの東京カンテイによると、2024年3月の70m2当たりの中古マンション価格は、各地で下がり始めている。

 首都圏は前年同月比3.7%、近畿圏は2.2%、中部圏は3.9%の下落だった。首都圏の都県別動向をみると、東京都のみ0.2%の上昇とかろうじてプラスを維持しているものの、神奈川県は1.7%、埼玉県は4.6%、千葉県は2.5%ダウンしている。

 住宅ローンの金利上昇が、この相場動向にも影響を与える可能性がある。三菱UFJ信託銀行では、ゼロ金利政策解除に伴う住宅ローン金利上昇が住宅市場にどのような影響を与えそうか、デベロッパーを対象に調査を行っている。

 その結果、住宅ローン金利が0.5%上昇した場合、分譲住宅について、「販売価格が下落する(10%以上)」とする企業が16%で、「販売価格が下落する(10%未満)」が56%と、合わせて72%が、下落が始まると回答している。金利上昇で返済負担が増え、消費者の購買力が低下、価格を下げざるを得なくなるとするデベロッパーが多いわけだ。

 これは分譲住宅への影響だが、すでに下落が始まっている中古住宅への影響は、さらに深刻なものになるかもしれない。価格下落に金利上昇が拍車をかけ、一段と下落幅が大きくなってくる可能性がある。

 そうなると、頭金ゼロでマイホームを買っている人は、今後住宅ローンの返済額が増える中で、中古住宅の相場が2割、3割と下落し、住宅ローン残高が売却可能価格を大きく上回る担保割れになってしまうリスクが高まる。

 通常に返済できていれば問題はないが、金利が上がって返済額が増加し、返済が厳しくなったので売却したいと思っても、担保割れ状態では売却は簡単ではなく、身動きが取れない状況に陥りかねない。