日本一の猛暑vsエコハウス!

 次は夏の暑さです。「高気密・高断熱の家は、冬は暖かいが夏は暑い」という話を聞いたことがありました。モデルハウスのある川越エリアの暑さは、日本で一番暑いとされる熊谷と同じくらいなので、確かめるにはうってつけです。

 ちょうど、私が宿泊したモデルハウスを運営する工務店が、周辺エリアで別の住宅を建設中でした。壁や屋根などの構造ができ、窓や断熱材が入った状態です。内装はまだでしたが、夏に見学させてもらいました。

 その日は外気温が33℃、湿度75%の真夏日。歩くだけで汗が噴き出します。ところが、家に入ると別世界のように涼しいのです。きっとエアコンをガンガンに動かしているだろうと思いましたが、私が訪問したときエアコンは止まっていました。

 少し前まで動かしていたというエアコンを見ると、工事用に設置した簡易型のエアコン(4畳用)1台のみ。それで2階建ての建物が、室温25℃、湿度60%を保っていました。一度到達するとその温度をしばらく保つので、エアコンはつけっぱなしではなく、室温が2~3℃上がるとつけ、下がるとまた消しているとのことです。

 工事中なので、取材時にも大工さんたちが出入りしています。工務店の社長は、構造さえできれば夏も冬も快適なので、大工さんからも仕事がしやすいと好評だと言います。この体験から、断熱と気密がしっかりしていれば、わずかなエネルギーでも住宅を涼しく保つことが可能なのだと実感できました。

 しばらく後、冬に宿泊したモデルハウスで夏の宿泊体験もしました。冷房は2階にあるエアコン1台を弱く動かすだけで、やはり家中が25℃から26℃、湿度は60%程度を保ちました。当時の住まいである木造アパートでは、夜はエアコンを止めると寝苦しく、つけると寒いので安眠できない日が続いていました。

 しかしエコハウスでは、ぐっすりと眠ることができました。外気温が厳しい時期でも、温度、湿度が安定していると、これほど体が楽なのかと、改めて実感したのです。

>>前編:酷暑がやってくる!がまんの省エネ国ニッポン、エアコンの性能向上も大事だが、そもそも家の「断熱性能」が悪すぎる

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