これまで日本では再生可能エネルギーといえば太陽光や風力発電のことだとされ、政策によって大量に導入されてきたが、電気料金高騰などの弊害も目立ってきた。だが考え方を変えて、ドイツのように、エアコンなどのヒートポンプを主要な再エネ技術と位置付け推進すべきだ。ヒートポンプを含めると、実は日本は世界をリードする再エネ先進国である。
(杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
ドイツ暖房法「再エネ65%」はエアコン暖房でOK
ドイツで「暖房法」が(川口マーン惠美氏が書いているようにすったもんだの末)成立した。家庭の暖房については「再エネの割合を65%以上にすることを義務付ける」となっている。
65%という数字はいくら何でも無理だろう、バイオ燃料や再生可能エネルギー(再エネ)由来の電気を使うといっても限度がある、と思っていたら、カラクリがあった。エアコンで暖房すればそれでOKなのだ。ドイツ政府の説明を見ても、ヒートポンプ(エアコンのこと)を使って暖房をすれば、暖房法(GEG)の要件を満たす、と説明してある(図1)。
エアコンもエコキュートも再エネ技術
さて図1では「ヒートポンプ」と書いてあるが、ヒートポンプとは何か。
ヒートポンプとは、室外機から熱(ヒート)を室内に汲み上げる(ポンプ)ものだ。外気の熱を室内に汲み上げればエアコン暖房になり、外気の熱でお湯を沸かせば「エコキュート」などの商品名で知られる給湯機になる。