トップレベルの住宅も、海外では違法建築

 図2では、日本と他の先進各国との断熱基準の差が示されています。横軸は外気温の寒さの度合い、縦軸は断熱のレベルの度合いです。断熱性能を表す数値をUA値(外皮平均熱貫流率)と言います。UA値は、小さいほど住宅の断熱性能が高くなります。

出所:『「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札 』(集英社新書)より
拡大画像表示

 なお日本の各地域は、国(国土交通省)により8つの気候区分に分けられています。例えば、寒い札幌(2地域)と、東京(6地域)とでは、同じ室温を保つために必要な断熱材の量は違います。そのため同じ基準(断熱等級4)であっても、暖かい地域と寒い地域とでは、求められる断熱のレベルが異なっているのです。

 重要なことは、北海道を除く日本のほとんどの地域の断熱基準は、他国と比較すると極めて性能が低いということです。

 さらに、他国との決定的な違いがあります。それは、国が断熱レベルを義務化しているかどうかです。日本の省エネ基準(断熱等級4)は努力目標にすぎないので、ほぼ無断熱の住宅であっても、自由に建てることが可能でした。

 一方、欧米や韓国などでは、住宅の断熱性能の最低基準を法律で定め、義務化しています。図2で示された基準より断熱性能の低い住宅は、建てられません。つまり、この図に載っている国々では、日本でトップレベルの住宅(断熱等級4)は、違法建築となってしまいます。

>>後編:日本一の猛暑でもエアコン稼働は最小限ですむ?高機密・高断熱なら夏も冬もぐっすり眠れる、「エコハウス」体験記

「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札 』(集英社新書)