「Choose Your Life」を旗印に10代、20代向けのキャリア支援を展開しているハッシャダイソーシャル。設立当初は、代表理事を務める勝山恵一と三浦宗一郎が体一つで全国の学校や施設を回っていたが、最近では社会課題に関心を持つ同世代の仲間や教育現場の教職員、そして二人に影響を受けた10代、20代の若者がその輪に加わるなど、その活動は大きなうねりになりつつある。
なぜ人々は二人の下に集まるのか。なぜ10代、20代の若者は彼らの言葉に耳を傾けるのか──。札付きの不良と自動車工場の元工員、その仲間たちが巻き起こしている「挑戦」の記録(第4話)。
※ハッシャダイソーシャルの軌跡と10代、20代の葛藤を描いた『人生は選べる 「ハッシャダイソーシャル」1500日の記録』、絶賛出版中!
「営業せえへん?」の真意
高校中退の自分が彼女と生まれてくる子どもをどうやって養うのか──。そんな不安に押しつぶされていた勝山を京都・河原町のカフェに連れ出した久世大亮は、勝山にこう切り出した。「一緒に営業せえへん?」と。
久世は大学を中退した後、大阪の営業代行会社で働いていた。大手通信会社の通信回線やiPhoneなどを販売する二次代理店の営業である。当時は社用携帯がガラケーからスマホに置き換わる時期。久世は法人向けの販路開拓や提案営業などに奔走した。
マネジメントの才があった久世はすぐに結果を出し、すぐに10人、20人を動かすマネジャーに昇格している。
久世のチームには、大学生のインターンが何人もいた。ただ、マネジャーという立場で見ると、学歴が高いからと言って営業成績が高いわけではない。逆に、大学に行っていなくても、継続して努力し、経験を積むことで実績を出す人は大勢いた。
この経験を通して、久世はうまく導いてあげれば、若い人はどんどん変わるということを実感した。
そんな気づきを得て地元の京都・山科に帰ると、昔の仲間は相変わらずニートのような生活を送っていた。その姿を見てガッカリした久世だったが、彼らに営業の仕事をさせれば変わるかもしれないと感じ、大阪でやっていたような営業代行の仕事を始めることにした。
このときに声をかけた一人が、妹の彼氏だった勝山である。