新人作家の登竜門となった「ガロ」と「COM」

中川:「COM」は手塚先生が手掛けたマンガ雑誌で、虫プロ商事から創刊されました。白土三平が「ガロ」で好きなことをしているのを見て、マンガの神様である手塚治虫としても黙っていられなかったのでしょう。手塚先生も、自分の作品を何十ページも載せる雑誌を出したいと考えて「COM」を創刊しました。

 手塚先生が作ったアニメ制作会社の虫プロは作品のマーチャンダイジングで儲かっていました。そういった作品の著作権管理のために、虫プロ商事という別会社を立ち上げており、そこから「COM」を創刊したんです。

こちらが「COM」。中川氏の私物こちらが「COM」。中川氏の私物

 手塚治虫先生はライフワークと呼んだ『火の鳥』を「COM」で連載しました。ほかに、当時のマンガ家志望の青年の間で絶大な人気のあった永島慎二さんも連載を持っています。「ガロ」も「COM」も、新人を公募するようになり、新人の登竜門の場になっていったのです。

「ガロ」では、つげ義春さんの前衛的なマンガが注目されました。永島慎二さんの私小説的なマンガも支持されてマンガは小説や映画と並ぶ表現ジャンルになります。このあたりまでが、第二次マンガ革命と言っていいと思います。

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長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。