この前提を踏まえた上で話をすると、マンガが大きく変わったのは、1947年に手塚治虫先生が発表した『新宝島』というマンガからです。この作品には、それ以前のマンガとは全く異なるスタイルが見られました。 戦前の子ども向けのマンガでは、田河水泡が描いた『のらくろ』などが有名です。主人公がいて、お話めいたものはあるのですが、基本的には面白おかしいという感覚を、短い絵と文字の連続で見せるというスタイルでした。 手塚先生はそんなマンガの世界に、映画や小説に匹敵するくらいのストーリー性を盛り込んだのです。そのため、手塚先生の作品は「ストーリーマンガ」と呼ばれました。裏を返せば、それまでのマンガにはストーリーが