少年野球が保護者に敬遠される理由とは
2つ目は金銭的な理由。サッカーやバスケットボールといった他のスポーツと比較すると、野球は初期投資が重いのです。サッカーであれば、せいぜいボールとスパイクを買えばいいものの、野球は数万円するグラブや5万円のバット、ユニフォーム、練習着などを購入する必要があります。
最後に、監督・コーチの指導スタイルの問題。野球においては、監督・コーチが口汚く叱責したり、怒鳴ったりという指導スタイルがまだ伝統として残っています。ちょっとしたことでも「ハラスメント」だと糾弾されかねない「ハラスメント時代」に生きている令和の子育て世代には、こうした指導方法を素直に受け入れることは難しいものです。
実際、私が少年野球の取材でよく聞く話が「指導者と軋轢が生じてやめた」という話。少年野球チームも最近は厳しい指導方法を敬遠する親が多いという事情を知っていますから、公式HPで「ウチはエンジョイ・ベースボールです」と謳っていても、実際は古くからいる監督がよく怒るという事例も耳にします。「話が違うじゃないか」と野球をやめてしまうケースもあるのです。
今の少年野球は習い事として「選んでもらう」立場です。子どもの体力の向上を願う親にとっては水泳もサッカーもありますし、勉強させたい親にとっては英語も塾もある。芸術に親しんでほしい親はピアノも大事。必ずしも野球をさせなければならないインセンティブは特にありません。
そうした状況の中では、継続するのに異常な負担がかかる野球は敬遠されるようになっているのです。
──とりわけ「労力の負担」に関しては他の習い事と比較しても、少年野球は保護者に求めることが多い印象を受けます。