「理念」だけでは国際社会に通用せず

 防衛装備移転3原則は、下図のような内容でした。平和と安定した国際社会をつくることが第一の目的であることから、好戦的なイメージを持つ「武器」という用語を「防衛装備」という言葉に改め、輸出を認める相手先も明確化。紛争当事国や国際条約に反する移転などは決して認めない姿勢を打ち出しました。

出所:外務省・防衛省の資料からフロントラインプレス作成
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 また、移転を認める場合も「平和貢献・国際協力」「日本の安全保障」に当てはまるケースに限るとの条件を明確にしています。

 ところが、国際情勢の変化は想像以上の速度で進みます。2022年春にはロシアによるウクライナ侵攻が勃発。欧州では戦火拡大への危機感がかつてないほど高まり、西側諸国の結束が従来にも増して必要とされるようになりました。アジア地域でも、中国の軍事的脅威が拡大し、北朝鮮の核・ミサイル開発なども続いています。

 こうしたなか、日本では2014年制定の防衛装備移転3原則を見直し、さらなる国際貢献ができるようにすべきだとの議論が高まりました。そして2023年春から見直しに向けた議論が始まり、同年12月と今年3月の2回にわけて3原則の改定が行われたのです。

 では、どのような改定が行われたのでしょうか。