根強い国民の慎重姿勢

 岸田文雄首相は「国民に丁寧な説明をしながら進めていくことが重要だ」と繰り返していますが、国民はどう判断するでしょうか。

 3原則の改定に向けた議論が本格化していた昨年5月に実施された共同通信の世論調査では、殺傷能力を武器の輸出を「解禁すべきだ」は20%しかありませんでした。他方、「殺傷能力のない武器輸出にとどめるべきだ」は54%、「武器輸出は全面的に禁止すべきだ」は23%に達していました。

 武器輸出に関する国民の慎重姿勢は依然として根強いことがわかります。そうした事情をしっかりと把握せず、政府が前のめりで防衛装備移転3原則の改定や運用を続けていると、日本の安全保障政策そのものが不安定になる可能性も否定しきれません。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。