更年期も高血圧もハリの治療は同じ

 ここは相づちを打つべきなのか考えながら、もう半分ではこの患者さんの治療法について考えているうちに、自身で自身の今し方の言葉を引きとって

「本当失礼しちゃうわよ!」

 さっそくハリを打ち始めながらも、変わらぬ声調で続けています。

「なんでもかんでも、更年期、更年期って……まあたしかにそういうお年頃だけどさ」

 足の方からハリを打ち始めているのですが、やはり冷えも絡んでいるのでしょう……反応はいま一つ弱く

「でも血圧の方では引っかかっちゃって……って、前から血圧は高めだったんだけど」

 徐々に上の方を打っていきます。

「今回はずいぶん高かったから、やっぱり高いと、動悸とかのリスクも高くなるから気を付けた方がいいってことで、血圧を抑える薬だけ処方されて……あッ、そこ、ちょっと痛いかも」

 基本的には高血圧にたいする治療と同じではあります。

>>◎後編:【鍼灸師が読み解く「背中」(下)】背骨がS字に曲がる女性が来院、ハリと灸でコリを和らげたら「背が伸びたー?」

背中は語っている <からだのことば>を解きほぐす東洋医学』(松波太郎著、晶文社)