更年期障害の可能性も?

 むしろエネルギーがみなぎり過ぎなくらいかもしれません……

「ああ、何なの、あのお医者さん!」

 少なくともこのように声や息と共に吐き続けている口周辺には、エネルギーがみなぎり過ぎていて

「ああ……もしかして足の方に扇風機でも置いちゃってる?」

 足や下半身のエネルギーが上半身に引っぱられている状態に陥っているのかもしれません。

「……いえ、置いてないです」

「足がやけに冷たくなってきちゃっていて……」

「……でしょうね」

「のぼせているのかしら?」

「……でしょうね」

「“でしょうね”って」

 こちらの言葉をききとる耳まわりにもエネルギーがみなぎっていて、やや敏感になっているのかもしれません。

「他人事みたいに……まあ先生にとっては所詮他人事なんでしょうけど!」

「……いえいえ」

「それで、そのお医者さんが言うにはね」

「……はい」

「更年期障害もあるんじゃないかって」

 わたしの相づちをまた待っているのか――少し間があいたので、予診票に一度目を落としました。

「このご年齢のとくに女性の方に多いとか何とか言ってきちゃって」

“49歳”

「……はい」

「失礼しちゃうわよね?」