病院で心電図や胸部X線検査を

「……病院の方で一度検査してもらってもよろしいかと……心電図や胸部X線検査等を」

 という言葉まで口から発した記憶がきちんとあります……すこし語気があらくなっていたかもしれません。

「……われわれ鍼灸師には心電図やX線等の検査はもちろん、“診断”の権限も法的に与えられておりませんので」

 という内情の代わりに、鍼灸師側が得意としているアナログ的な検査法――患者さんの手首の脈を診る“脈診”としては、急を要する程の症状ではなかったのですが

「……もし異状がなかったら、それはそれとして」

 念のため、やはり病院の方にまずは行ってもらい

「……安心を手に入れるためにも、はやめに一度……」

 翌週再びご来院になった際には、1週間のインターバルを感じさせないくらいに、トーンもリズムも地続きになっています。

「検査ではとくに異状は出なくて、うーん、とお医者さんの方もうなっていて」

 という患者さんの声そのものは全然うなっているようにはきこえず、エネルギーがみなぎり続けている印象です。

「結局“何なんだろうね”ですって!」