ドローン攻撃の準備をするウクライナ兵士(写真:AP/アフロ)
  • ウクライナのドローン攻撃により、ロシアが原油の減産に追い込まれた。
  • 中東ではガザへの攻撃を続けるイスラエルの暴走が止まらない。反発するフーシ派は活動を活発化させており、イスラエルとの関係正常化に動くサウジアラビアへの攻撃が現実味を帯び始めている。
  • ウクライナとイスラエルは米国の要請に耳を傾けなくなってきており、ロシア・中東でのリスク上昇が原油・ガソリン価格を押し上げ、米バイデン政権に打撃を与える可能性がある。(JBpress)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)はこのところ1バレル=81~82ドルの間で堅調に推移している。3月26日には一時82.48ドルと、19日に付けた約5カ月ぶりの高値(83.75ドル)に接近したが、その後、利益確定売りが優勢となっている。

 まず、いつものように世界の原油市場の需給を巡る動きをアップデートしておこう。

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの大産油国で構成するOPECプラスは3月3日に、日量220万バレルの自主減産を第2四半期も延長することで合意している。26日付ロイターは、「4月3日に開催するOPECプラスの合同閣僚監視委員会で生産政策を変更する可能性は低い」と報じた。

 OPECプラスでの新たな動きが乏しいなか、市場関係者が注目しているのはロシアだ。

 ロシア政府は25日、OPECプラスの減産合意を遵守するため、国内石油企業に対して第2四半期の生産量を減らすよう命じた。

 ロシアはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などとともに、第2四半期に輸出や生産を日量47.1万バレル減らすと発表していた。強制力を伴わない自主的な措置とみなされていたが、政府による減産命令で実効性が高まるとの見方が広がった。

 ロシアはさらに輸出削減を徐々に緩和し、減産のみに軸足を移す方針だ。計画通りに削減が実施されれば、6月の生産量は日量約900万バレルとなる*1

*1ロシア、原油減産を各社に指示 OPECプラス目標達成へ(3月26日付、ロイター)

 ロシアが減産に舵を切った背景に、ウクライナによるロシアの製油所への度重なる攻撃があることは言うまでもない。

 ロイターの試算によれば、ウクライナのドローン(無人機)攻撃を受け稼働を停止したロシアの製油所の生産能力が合計で日量90万バレル(製油能力全体の14%)に達したという。ウクライナ東部の前線から800キロメートル離れた製油所も被害に遭っている。

 稼働再開は製油所によっては4月末、5月末になると言われており、供給不足の懸念からロシアのガソリン価格は半年ぶりの高値となっている。

 製油所が稼働できなければ原油を生産しても貯蔵庫に溜まる一方だ。この事態を避けるためにロシアはやむなく減産に踏み切ったのだろう。