中国由来の資料が飛び出した再生エネルギータスクフォース。写真は河野太郎氏(写真:共同通信社)中国由来の資料が飛び出した再生エネルギータスクフォース。写真は河野太郎氏(写真:共同通信社)

(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)

 国家機密の漏洩を中国など外国に漏らさない仕組みである「セキュリティクリアランス」が法制化に向けて検討が進んでいる足元で、我が国のエネルギー問題を議論する内閣府「再生エネルギータスクフォース(以下、再エネTF)」が燃えています。

 内閣府で行われている再エネTFは、安倍晋三政権以降、重要閣僚を歴任した自民党・河野太郎さんが用意している審議会に準ずるハコで、国民に広く負担を求めている再エネ賦課金や再生エネルギーの固定買い取りをするFIT価格に関して政府に提言を行う会議体です。

 もともと河野太郎さんは教条的な脱原発思想の持ち主で、政策的に原子力発電から再生エネルギーにシフトさせることを重視してきました。2021年には、我が国のエネルギー政策の大きな方針を定める『エネルギー基本計画』の策定において、原案について説明に来た官僚を怒鳴りつけ、パワハラ騒ぎを起こしています。

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 問題は、パワハラを起こしたことだけではなく、河野太郎さんが原案にあった「(日本の発電能力のうち)再生エネルギーの比率を『36~38%』という上限のある数字ではなく『36~38%以上』に(しなさい)」という河野太郎さんの主張そのものにあります。

 この河野太郎さんの主張を政府内で後押しする会議体のひとつが、今回問題となった再エネTFです。実質的な構成員4人のうち、大林ミカさん、高橋洋さんの二人がソフトバンク系の自然エネルギー財団からの起用です。

 その大林ミカさんが政府に提出した再エネTF関連の資料には、中国国営の送電企業である国家電網公司の資料であることを意味する刻印が刻まれており、日本のエネルギー政策を議論し改善案を提案するべき再エネTFに中国製資料が混ざっているというのはどういうことなのか、と問題になったのが今回の事件です。

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 結局、内閣府は、ハッキング被害に遭ったからという雑な理由で資料の公開を一時中止しましたが、今回の会議資料だけでなく、昨年12月に行われた前回資料にも実はその中国企業の刻印があったことが判明すると、釈明を二転させています。

 また、河野太郎さんもTwitter(X)上で、「チェック体制の不備でお騒がせしたこと」とポストしていますが、これは河野太郎さんらしいレトリックで、責任はそのような会議体に大林ミカさんらを選任した河野太郎さん自身ではなく、会議体を運営している官僚のミスだと話をすり替えているようにも見えます。