筒石(つついし、新潟県糸魚川市)は1912年(大正元年)、旧国鉄時代に開業した北陸本線の古い駅だ(現在は、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの駅)。このあたりは山が日本海に迫っていて、そのギリギリのところに線路が通っている。そのような地形のため地滑りが起こりやすく、路線が何度も不通になることがあった。

 このため、北陸本線を複線にする機会を捉えて、トンネルを造ってルートを変更することになった。それに伴い、地上にあった筒石駅が頸城(くびき)トンネル内に移転したのだ。

 筒石駅の実際の地下迷宮ぶりはこちら。
入り組んだ通路がまるで“地下迷宮”、夏には霧がたちこめ幻想的な筒石駅(2024.3.24)

観光スポットにもなっている「日本一のモグラ駅」土合駅下りホーム

土合駅の上り下り連絡通路から下りホームに続く462段の階段。子どもが楽しそうに駆け上がってきた土合駅の上り下り連絡通路から下りホームに続く462段の階段。子どもが楽しそうに駆け上がってきた

 一番有名なトンネル駅は、「日本一のモグラ駅」と呼ばれる土合(どあい)駅だろう。この駅を体験するために、わざわざ土合駅で降りる人もいるほどだ。

 下りホームは駅舎のある地上から約70m下にある。下りホームへは486段の階段を約10分かけて下りなければならない。ホームから地上へ行くなら逆にそれだけの階段をのぼる。エスカレーターやエレベーターはない。

 JR東日本上越線の土合(群馬県みなかみ町)の下りホームは、1967年(昭和42年)に上越線を複線化したときにトンネル駅として造られた。単線であった既存の清水トンネル(長さ約9702m)を上り線とし、新たに開通させた新清水トンネル(長さ約1万3490m)を下り線とした。両トンネルは長さ、深さ、場所が異なるので、土合駅も上りは地上、下りは地下70mという構造になったのだ。

下りホームから462段の階段を上り、上りホームとの連絡通路に到着。やれやれと思うのはまだ早い。この先に地上までの24段の階段が待つ下りホームから462段の階段を上り、上りホームとの連絡通路に到着。やれやれと思うのはまだ早い。この先に地上までの24段の階段が待つ

トンネル駅なのに階段0段の湯檜曽駅

湯檜曽駅下りホームから見たトンネルの出口湯檜曽駅下りホームから見たトンネルの出口

 有名な土合駅に比べてまったく無名なのが、隣の湯檜曽(ゆびそ、群馬県みなかみ町)駅だが、この下りホームもトンネル駅だ。土合と同じく新清水トンネルの開通と同時にできた。新清水トンネルの坑口(トンネルの出入口)のすぐ内側にあるので、写真のようにホーム端から外の景色が見える。