土合駅と違うのは、この下りホームに行くまでに階段が0段であることだ(上りホームへの連絡通路からの段数。地上から連絡通路までは12段の上り)。これでは話題にならなくても仕方ない。
しかし、別のおもしろいものが見える。上越線の上り線が湯桧曽駅の手前でループ線になっているのだ。湯檜曽駅近くから山を見上げ、そこを列車が通過するのを見たあと、何分か待つと、ループ線をぐるっと回ってきた列車が湯檜曽駅上りホームに到着する。
山岳地帯に鉄道を通すために奮闘した歴史が垣間見える、湯檜曽駅はそんな貴重な場所となっている。
土合駅と湯檜曽駅の下りホームだけがトンネル駅になった技術的な理由についてはこちら。
土合駅下りホームが「日本一のモグラ駅」となった60年前のトンネル事情(2024.4.7)
最長トンネルを抜けるとすぐに川、湯西川温泉駅はどこに作る?
トンネルを出るとすぐそこに川があるので橋梁になっている。どうしてもそのあたりに駅を作らなければならないとすれば、トンネルの中?それとも川の上?
そういう悩ましい状況に立たされ、結局トンネル駅となったのが、湯西川温泉駅だ。
湯西川温泉(栃木県日光市)は、新藤原(栃木県日光市)と会津高原尾瀬口(福島県会津町)を結ぶ野岩(やがん)鉄道会津鬼怒川線の駅。この間に駅は7つしかないが、トンネルが18、橋梁が64もあるという、山岳地帯を走る路線である。
湯西川温泉は平家の落人伝説がある名の知れた温泉地。そこへのアプローチのためにどうしても駅が必要だった。しかし葛老山(かつろうざん)トンネルを抜けるとすぐ湯西川が流れているため、トンネル内の坑口近くに駅を設置することになったのだろう。
詳しくはこちら。
トンネルを出るとすぐに川、駅を作るならここしかなかった湯西川温泉駅(近日公開予定)