ビットコインは2年ぶり高値もその後下落

 2024年1月10日の米証券取引委員会(SEC)の承認を受けて、翌日の11日にニューヨーク証券取引所、ナスダック、シカゴオプション取引所(CBOE)でビットコインETF 11銘柄の取引が始まりました。1月11日の売買代金の合計は46億ドル(約6700億円)、12日は31億ドル(約4500億円)と活発な取引が見られました。ETFの承認を受けて、ビットコインの相場も11日に一時4万9000ドル前後と約2年ぶりの高値まで上昇しました。

 取引初日は、11銘柄のうち米グレースケール・インベストメンツの「グレースケール・ビットコイン・トラスト」の売買代金が約23億ドルと約半分を占め、米ブラックロックの「アイシェアーズ・ビットコイン・トラスト」などが続きました。最初の4日間の取引では、米ブラックロックのビットコインETFの運用資産が他に先駆けて10億ドルを超え、手数料の安さや知名度を背景に人気を集めています。

 これまで暗号資産に触れていなかった新たな投資家などを呼び込んでいることに加え、米国では利上げ局面が収束し、暗号資産などボラティリティー(価格変動の度合い)の高い投資にも資金が戻りやすくなっていることも追い風だと言われています。

出所:Yahoo! Finance

 ただビットコイン相場の高値は長続きせず、1月22日時点では4万ドル前後まで下がり、利益確定売りも出やすい地合いになっています。ビットコインは通貨としての機能が不足していることに加え、ボラティリティーが高く、他の資産に対するヘッジ(回避)としての機能が不十分であると指摘する声もあります。

エルサルバドルは2021年にビットコインを法定通貨に採用した。写真はビットコインでの支払いを受け付けるマクドナルド店舗(写真:ロイター/アフロ)

 実際、中南米のエルサルバドルは2021年に世界で初めてビットコインを法定通貨に採用しましたが、決済手段としての定着には程遠い状況です。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏もかねてより「ビットコインには本質的な価値がない」などと批判的な立場を示してきました。