頼りにされる中高年社員になれるか(写真:metamorworks/Shutterstock.com

会社で「おじさん」といえば何かと邪魔者扱いされていることが多いかと思います。ところが最近はありがたがられる人も増えてきました。共通しているのは、長年積み重ねてきたノウハウに磨きをかけ、職場に深みを与えている方々です。若い世代に管理職を任せ、自分は年上部下として貴重な戦力となり、活躍しています。若い世代が活躍できる下支えするために、知恵を惜しみなく提供する中高年世代。そんな年下上司と年上部下の関係をつくるためのポイントを探ります。

(徳岡 晃一郎:多摩大学大学院名誉教授、株式会社ライフシフトCEO)

重宝される50代の会社員になれるか

 大手製造業に勤める田中正行さん(56歳)は最近、社内で輝きを増していると評判です。田中さんは2年ほど前に役職定年で管理職からは外れ、日々書類を整理する業務に勤しんでいました。本人は「こんなはずじゃなかった」と思う時期が長く、意気消沈する日々をすごしていました。

 変化が訪れたのは、新規案件の提案を検討する場に居合わせたことでした。若手社員たちがネットを駆使し、参考になる調査報告書を探したりアイデアを発掘したりしていたのですが、思うように企画がまとまりません。傍目で見ていた田中さんは、思い切って声をかけました。

 もともと田中さんは若い頃から斬新な企画を出すヒットメッカーでした。役職定年を迎え地味な日々を送っていた田中さんは「アイデアに行き詰まったときは社外の人と話すと良いよ。だれか紹介しようか」と助け船を出したのです。

「ぜひお願いします」。若手社員から頼まれた田中さんは、早速、社外のキーパーソンを数人紹介しました。

 田中さんは久しぶりに頼りにされた感覚に嬉しくなりました。かつての人脈が活きたのです。若手からは「これからも相談させてください」と頼りにされるようになりました。

 田中さんのように、経験を活かして重宝される50代の会社員がいます。50代の社員と言えば、「お荷物」として扱われ、会社で居場所を失ってしまうケースばかりがメディアに取り上げられがちです。

「しがみつき」社員に眠る暗黙知の鉱脈

 しかし、役に立たない人がずっと居座る「お荷物」社員ではなく、ひとつの組織に長くいることで様々なことを経験し、後輩に伝えられるスキルを身に着けた人も少なくありません。私は、「お荷物」社員である前者に対し、後者は「しがみつき」社員と名付けています。 

「お荷物」は仕事を任せられず戦力になりません。一方で、「しがみつき」には、日本が輝いていたころのノウハウや広い人脈という暗黙知の鉱脈が眠っているのです。日本が元気だったころの「野生」の原体験も埋蔵されているでしょう。

「しがみつき」には、これまでの経験を活かし、戦力として大きな力を発揮するポテンシャルがあるのです。