今回も松本個人の問題で終わらず、同社がガバナンスを問われる恐れがある。松本は同社のトップタレントであり、後輩タレントを束ねる立場なのだから。同社としては闇営業問題の二の舞になるのはなんとしても避けたいだろう。

芸能プロでは類を見ない権力との親密ぶり

 万博もクールジャパンも旗振り役だったのは故・安倍晋三首相だ。大﨑氏と安倍氏は懇意だった。2019年には安倍氏が吉本新喜劇の舞台に上がり、世間を驚かせた。一方で大﨑氏は内閣府の「沖縄県にある米軍基地の跡地利用を議論する有識者懇談会」の委員を務めていた。

 政府・自民党と吉本興業の親密ぶりについて、ほかの芸能プロは訝しがっている。確かに一芸能プロが国から特別扱いされているようでもあり、奇異に映る。世間にも両者の関係に眉をひそめる向きがある。こういった声を高まらせないためにも「松本隠し」は必要だったと見る。

 松本は性加害疑惑についての記者会見をやらない。倫理論は別とし、芸能界の論法で考えると、正しい。記者会見はマスコミにとってはありがたく、世間の多くも望むが、松本と吉本興業にとってはメリットが薄いのだ。2023年9月と10月の旧ジャニーズ事務所の記者会見で同社側が火だるまになったことが記憶に新しい。

 また、記者会見内で文春に強く反論をすると、被害を訴えている女性たちへのセカンドレイプと受け取られてしまう恐れがある。疑惑の真偽は裁判でしか明らかにならないのだから、松本と同社にとって沈黙は金なのだ。万博にとっても同じである。