ひと昔前までは、テレビ局のADは奴隷みたいに酷使され、ブラックな職種の代表みたいにいわれてた時代があった。しかし現在、「現場でもっとも大切にされているのはAD」だというのだ。なり手がいないし、やめられては困るから(『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(鎮目博道著、光文社)。

 それよりも、いま「最高に大変なのが海外特派員」だという。海外支局の統廃合で、カバーするエリアが広範囲になっている。鎮目は、特派員の「超ブラック労働っぷり」といっている。ほかにも「現場のテレビマンたちは、ブラックな環境でオロオロしながら働いて」いるともいって、テレビ局全般のブラックぶりを指摘している。

「ブラック」ということは「人権」が無視されているということだ。地位の低い女性にたいするセクハラや、制作会社へのパワハラなどは蔓延していないか。なんの罰則規定もないこの人権宣言は、ただの空念仏に終わりそうである。

 鎮目博道が「テレビ業界はそんなに大したスケールのところではありません。NHKを除けばしょせんは中小企業ばかりです」と書いている。

 会社規模の大小でいえば、テレビ東京の売上高1000憶円台以外の、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日が軒並み2000憶円台というのは、たしかに「中」である。

関心度や影響度では“中小企業”とはいえず

 だが、世間の関心度や、世の中に対する影響度は、ただの中小企業とまったくちがう。一般人は芸能人や芸人を、ただテレビに出ているというだけで、憧れ、まるで特別な人間を見るようではないか。たとえば、木村拓哉が信長に扮して行列をするというだけで、何十万人も集まる大騒動になるのだ。

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 だから芸能人に憧れるA子さんみたいな女子たちが後をたたないのである。一般人だけではない、大学教授といった社会的地位にあるものまで、たけしやタモリには態度が及び腰なのである。

 そんななかに、「絶対に頑張って、負けるなまっちゃん」「週刊文春返り討ちにして、またお茶の間に笑いを届けてよ」「やめずにずっと笑わせて」などと応援するバカファンがいるのだ。

追記。

 1月8日、吉本興業は、松本人志の「当面の間活動を休止」する旨の発表をした。この発表直後に松本は「事実無根なので闘いまーす。それも含めワイドナショー出まーす。」とつぶやいている。本気で「裁判」をするようだ。

 なんだかもうめんどうくさくなり、どうでもいい気がしてきたが、いずれにしても今週の「週刊文春」が見ものである。さすが「週刊文春」となるか、それとも初の一敗を喫するか。わたしは「週刊文春」の味方である。

さらに追記。

 1月9日に配信された「週刊文春」1月18日号電子版(雑誌は1月10日発売)の第2弾の記事を読んだ。