小沢に宛てたLINEのメッセージが

 しかし「証拠を出せ」はつねに加害者の言である。このような性加害は、かれらの世界では実際に行われているとわたしは思っている。

 この記事に対し吉本興業は「当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するものです。当社としては(略)厳重に抗議し、今後、法的措置を検討していく予定です」と完全否定をした。

「週刊文春」は徹底した取材と、記事の信ぴょう性に関しては定評がある。完全否定して大丈夫なのか。「法的措置を検討」というのはこういうときの常套句であり、めったに控訴したためしはない。

 松本は「いつ辞めても良いと思ってたんやけど、やる気が出てきたなぁ~」とコメントした。小沢の所属事務所は「私どもからお話しすることはございません」とほとんど白旗を上げた格好だった。

 今回の松本事件は、2023年夏、「週刊文春」が報じた黒岩祐治神奈川県知事の不倫・猥褻メール事件のときのような決定的な証拠がない。

 文春はこれだけではちょっと弱いな、と思っていたら、1月5日、被害者A子さんの、小沢に宛てたLINEのメッセージがあきらかにされたのである。被害に遭った日の深夜、解放された直後になされたもので、こういう内容だ。

「小沢さん、今日は幻みたいに稀少な会をありがとうございました。会えて嬉しかったです。松本さんも本当に本当に素敵で、○○さん(※画像では実名)も最後までとても優しくて小沢さんから頂けたご縁に感謝します。もう皆それぞれ帰宅しました ありがとうございました」

 なんだこれは? すべては合意の上だったということか。それとも、これにもなにかのからくりがあるのか。

 このメッセージの存在を知っていたからこそ、吉本興業は直ちに「事実無根」と完全否定をし、松本も「やる気が出てきたなぁ~」と強気の発言をしていたのか。現に、このメッセージが発表されたとき、松本はこれを待ちわびていたというように、一言「とうとう出たね…」とつぶやいたのである。

「週刊文春」はこの「感謝メール」の存在をつかんでいたのか。知っていてわざと泳がしていたのか。それとも寝耳に水なのか。

ジャニーズが使えなくなり芸人に頼り切る

 芸人をのさばらせたのは、芸人なしではもはや番組ができないようにしてしまったテレビ局の責任である。漫才ブームを作ったのも、M-1グランプリを盛り上げ、優勝者を祭り上げたのも、また第7世代なる空疎なるブームを捏造したのもテレビ局である。

 テレビにはニュース、ドラマ、スポーツ、バラエティ、お笑いのジャンルがある。いまやお笑い芸人たちはそのすべてのジャンルに使われていて(進出していて)、かれらの存在なしではいまのテレビは成立しないのである。