函嶺洞門と2つの橋は、「国道一号箱根湯本道路施設」として、函嶺洞門が閉鎖された翌年の2015年に国の重要文化財となった。それぞれの優れた意匠と歴史的価値の高さが認められたからだ。
行き交う人や車の安全を守り続けてきた函嶺洞門だったが、時代が進み国道の交通量が増えるにつれ、車道幅の狭さ(5.8m)が課題となった。カーブした洞門内では大型バスのすれ違いが難しく、定常的な渋滞発生の原因ともなっていたようだ。
さらに2005年(平成17年)には台風によって坑口近くで土砂の崩落が発生するなど、安全面での対策も求められていた。
このため、函嶺洞門を迂回するバイパスが建設され、2014年2月、函嶺洞門は通行止めとなり長い役目を終えたのだ。
今後は継続的な公開の可能性も
1週間という限定公開ながら、約10年ぶりに内部見学が可能になった函嶺洞門。今後はどうなるのだろうか。
2021年11月に現地を訪れた際は、函嶺洞門周辺が網のフェンスで囲われ、道路には舗装を突き抜けて背の高い雑草が生えていた。そのため「このまま放置されると、“廃墟”となっていくことは避けられないだろう」という不安を抱いた。