(牧村あきこ:土木フォトライター)
奇跡的な復活、と言えるだろう。
2022年10月1日、JR只見線が全線開通する。不通だった会津川口から只見までの区間が復旧すると、JR東日本が今年の5月に発表した。11年間という長い年月をかけ、流された鉄橋を含む不通区間が、再びよみがえる。その苦闘の軌跡をお伝えする。
次の写真は2022年6月に撮影した第6只見川橋梁だ。冒頭写真の無惨な姿だったことが想像できないほど、りっぱな橋になった。
※本記事に含まれている写真が配信先のサイトで表示されない場合は、こちらでご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/71893
福島県の会津若松と新潟県の小出(こいで)を結ぶJR只見線は、山が深く豪雪地帯を通るという険しい立地だが、四季折々に変化する風情ある車窓が望めることから「秘境路線」の中でも人気が高い。
ところが2011年、東日本大震災からわずか4カ月後に福島は再び大きな災禍「平成23年7月新潟・福島豪雨」にみまわれた。豪雨により河川の堤防が決壊し、広範囲による浸水被害が発生したのだ。
只見線も大きな被害を受け、会津川口から只見までの27.6km(途中の6駅を含む、次の図を参照)が現在までの11年間不通になっていたのだ。
上図のうち、第6橋梁と第7橋梁の鋼製のトラス橋は丸ごと流された。第5橋梁は橋桁の一部が流出。第8橋梁は橋自体の流出は免れたものの、盛土崩壊や地滑りなどで列車の走行ができない状態に陥った。