2011年7月の豪雨で流された只見線の第6只見川橋梁(写真:安部宏宣氏提供)

(牧村あきこ:土木フォトライター)

 奇跡的な復活、と言えるだろう。

 2022年10月1日、JR只見線が全線開通する。不通だった会津川口から只見までの区間が復旧すると、JR東日本が今年の5月に発表した。11年間という長い年月をかけ、流された鉄橋を含む不通区間が、再びよみがえる。その苦闘の軌跡をお伝えする。

 次の写真は2022年6月に撮影した第6只見川橋梁だ。冒頭写真の無惨な姿だったことが想像できないほど、りっぱな橋になった。

復旧した第6只見川橋梁(下流側から2022年6月撮影、以下特記のないものは筆者撮影)

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 福島県の会津若松と新潟県の小出(こいで)を結ぶJR只見線は、山が深く豪雪地帯を通るという険しい立地だが、四季折々に変化する風情ある車窓が望めることから「秘境路線」の中でも人気が高い。

 ところが2011年、東日本大震災からわずか4カ月後に福島は再び大きな災禍「平成23年7月新潟・福島豪雨」にみまわれた。豪雨により河川の堤防が決壊し、広範囲による浸水被害が発生したのだ。

 只見線も大きな被害を受け、会津川口から只見までの27.6km(途中の6駅を含む、次の図を参照)が現在までの11年間不通になっていたのだ。

2011年から不通になっていた区間

 上図のうち、第6橋梁と第7橋梁の鋼製のトラス橋は丸ごと流された。第5橋梁は橋桁の一部が流出。第8橋梁は橋自体の流出は免れたものの、盛土崩壊や地滑りなどで列車の走行ができない状態に陥った。