しかもその時の彼らは、「失うものがない無敵の人」になっている可能性がある。結果、再犯という負の回転ドアは回し続けられ、新たな被害者を生み出すことになってしまう。
一度“転落”した者は負の回転ドアを回し続けるしかない
再犯という負の回転ドアを回し続ける無敵の人は、未来がある若い年齢であることが多い。彼らを、社会的に排除し、口座も持たせない、携帯も持たせない、賃貸契約もさせない、就職もさせない状態に置くことで、実は、犯罪の首魁にとっては新たなシノギが生まれることになる。
たとえば、ヤミ通帳であり、ヤミ携帯である。使い捨てにした筈の人間をシノギのネタにする、骨の髄までしゃぶるのである。そして、彼らは、再び犯罪にはしる(はしらざるを得ない)。
筆者もコロナ禍以前は、「闇バイト」で使い捨てにされる人は、自業自得と考えていた。しかし、コロナの渦中で困窮した若者の苦境を見るにつけ、排除するだけでは日本社会の未来は良くならないと考えるようになった。
再犯者や累犯者は別としても、闇バイトに巻き込まれた初犯者を、ワンストライクでアウトにすることは、犯罪社会の人口を増やし、新たな被害者を生み続ける可能性がある。
困窮して、脅されて、あるいは無知ゆえに闇バイトに巻き込まれる初犯者の対応をどうするのか――今後の半グレによる犯罪対策を考える上で、熟考しなくてはならない最重要課題であると筆者は考える。