欧州ではインフレ基調が鈍化し始めた(写真:ロイター/アフロ)
  • 11月30日に公表されたユーロ圏11月消費者物価指数(HICP)は7カ月連続で伸びが鈍化した。食品、アルコール・タバコを除くコア指数も4%を割り込んでおり、インフレ基調が失速しているのは間違いない。
  • ただ、サービス物価の伸びは高止まりが続いており、市場が織り込み始めている2024年4月前後の利上げを判断するのはまだ時期尚早だ。
  • 企業経営者は労働力不足とともに需要不足も感じ始めており、需要不足が労働力不足や賃金の伸び鈍化の呼び水となるかもしれない。

(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

サービス物価が「最後の砦」

 11月30日に公表されたユーロ圏11月消費者物価指数(HICP)は、前年同月比+2.4%と7カ月連続で伸び幅が鈍化し、2021年7月以来、2年4カ月ぶりの低い伸びとなった(以下、特に断らない限り前年比)。

 食品、アルコール・タバコを除くコア指数も+3.6%と+4%を割り込んでおり、インフレ基調が失速していることは間違いない(図表①)。既に年内最後となる12月14日の政策理事会に関しては、2会合連続の利上げ見送りが既定路線と見られていたが、これを追認する結果と考えられる。

【図表①】


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 もっとも、市場が織り込み始めている2024年4月前後の利下げは、まだ判断しかねる。

 かねて欧州中央銀行(ECB)が注視するのは雇用・賃金情勢を色濃く反映するサービス物価動向であり、それ自体は依然+4%と高い伸びが維持されている(図表②)。

【図表②】


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 本当に利下げが現実味を帯びるには、四半期に一度公表される労働コストや労働組合の妥結賃金動向で明確な折り返しが確認される必要がある。