コールインと記者会見を統合した上で生中継を復活させるプーチン

 プーチンは今年、ロシア国民からのコールインと記者会見を統合した上で生中継を復活させる。正式な日程は発表されていないものの、12月14日が有力と報じられた。2つの恒例行事は昨年、ウクライナ戦争で中止された。プーチンにとって来年3月のロシア大統領選を予定通り行うことが重要で、前線の状況に自信を深めている。

 ロシア国内で活動停止に追い込まれた独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ」のジャーナリストが立ち上げた「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」(11月13日付)は「不愉快なサプライズはないと踏んだプーチンは生中継の復活に前向きだ」との見方を伝える。日程が発表されないのは想定外の事態が起きても何事もなかったように延期すれば済むからだという。

11月17日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際文化フォーラムに出席するロシアのウラジーミル・プーチン大統領11月17日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際文化フォーラムに出席するロシアのウラジーミル・プーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「ウクライナは自由と民主主義の砦」というゼレンスキー氏のナラティブにEU加盟国でさえソッポを向き始めている。西側でも中露でもない第三勢力の本音は「自由と民主主義より安い食料とエネルギー」なのだ。イスラエル・ハマス戦争でイスラエル寄りの米欧に第三勢力はあからさまな欺瞞を見ている。

 キャメロン氏のウクライナ訪問には「自由と民主主義の砦」が瓦解するのを食い止める狙いがあるのだが、もはや「ウクライナの勝利」という楽観シナリオは消え去った。膠着状態を維持するためにウクライナを支え続けることができたとしたら、それが米欧にとって最善シナリオというのが厳しい現実なのだ。