ゼレンスキー「戦争疲れは波のように押し寄せてくる」

 英国が年間23億ポンド(約4300億円)規模の武器供給を続けるかどうかについてキャメロン氏は明言しなかった。

 イスラエル・ハマス戦争に米欧の関心はシフトしている。ユダヤ人家庭に生まれたゼレンスキー氏だが、「今、世界はウクライナの戦場に集中しておらず、焦点が分かれている」とウクライナがイスラエル支援の犠牲になることへの懸念を示した。

 英下院図書館の報告書「ロシア侵攻後のウクライナへの軍事支援」(10月発行)によると、ウクライナへの最大の軍事支援国・米国は2021年のバイデン政権発足以来、445億ドル(約6兆7000億円)を拠出。そのうち439億ドル(約6兆6000億円)は昨年2月のロシア侵攻後に行われた。第二の軍事支援国・英国は昨年23億ポンド、今年も同額の支援を約束している。

 欧州連合(EU)も欧州平和ファシリティー(EPF)を通じウクライナに武器を供与している。EUが第三国に殺傷兵器を送るのは初めて。EUは軍需品を提供したEPF加盟国への償還資金10億ユーロ(約1600億円)を含め56億ユーロ(約9000億円)を拠出済みだ。EUは4年間で最大200億ユーロ(約3兆3000億円)の軍事支援を行う基金の設立を提案している。

 米誌タイム(10月30日付)のインタビューにゼレンスキー氏は「私ほどウクライナの勝利を信じる者はいない。最も恐ろしいのは世界の一部がウクライナ戦争に慣れてしまったことだ。戦争疲れは波のように押し寄せてくる。米国でも欧州でもそうだ。少し疲れ始めると戦争は彼らにとってショーに過ぎなくなる」と苦しい胸の内を吐露している。