世界的に見ればトランプ流がグローバル・スタンダード?

 世界的に見ればトランプ氏は異常ではなく、実はグローバル・スタンダードなのかもしれない。ロシア侵攻後、西側は冷戦後の自由主義秩序を守るため世界を動員しようとしたが、甘い期待はあっさり裏切られた。台湾を巡って米中戦争が勃発した場合、ワシントンに味方をする人は欧州でさえほとんどいない。

 冷戦時代やジョージ・W・ブッシュ元米大統領の「テロとの戦い」を彷彿とさせるような「味方か、敵か」という二元論的な選択で国際政治を組み立て続けるならば、西側の指導者は地政学的リーダーシップの可能性を最大化することはできない――と報告書は指摘する。

 欧州の外ではEUが今後20年以内に崩壊すると考えている人が非常に多い。EUが崩壊すると考える人は中国で67%、サウジアラビア62%、ロシア54%と多数を占め、米国(34%)や欧州自体(33%)でも少なくない人がそう考えている。欧州以外の国々ではEU崩壊の可能性が高いとみる人の73%が「ロシアの勝利」を予想していた。

 米国は今後20年以内に民主主義国家でなくなると考える人も中国とサウジで過半数を占め、ロシアとトルコでは40%を超えた。