ミャンマーでは日本製の中古車両が活躍している(leshiy985/Shutterstock.com

 中国が一帯一路の要の一つとなるミャンマーでの鉄道建設に向け、事前調査に乗り出したようだ。

 軍政に批判的な報道を続けるミャンマーの独立系メディア「イラワジ」が伝えたところによると、10月初めに東部ラカイン州のインド洋に面した都市チャウピューで、中国人技師とみられる一行がミャンマー人の警察官に警備されながら主要道路の脇で測量を行っていたという。匿名の市民団体のメンバーによれば「鉄道の測量をしていると言っていた」という。

 少々不可解なのは、この市民団体メンバーが語ったところによると、この測量の実施について「郡区の軍事政権管理者さえも知らされていなかった」ということだ。それが事実だとすれば、ミャンマー軍政サイドも一部しか知らされないうちに秘密裏に測量が始まったということなのだろうか。

チャウピューから昆明に伸びるパイプラインに加えて鉄道も

 習近平国家主席が宣言して以来、中国がその構築に力を注いでいる一帯一路の経済圏構想では、東南アジア各国で多額の経済融資やインフラ投資が行われている。中でもミャンマーを経由する「中国・ミャンマー経済回廊(CMEC)」は、中国にとって、インド洋への道となる重要な一角だ。すでにミャンマー西部のインド洋に面したチャウピューには中国により整備された深海港があり、そこから中国・昆明まで天然ガスと原油のパイプラインが通っている。

中国・昆明とミャンマーのチャウピューを結ぶ原油・天然ガスパイプラインのルート(共同通信社)中国・昆明とミャンマーのチャウピューを結ぶ原油・天然ガスパイプラインのルート(共同通信社)

 中国はこのパイプラインと並行するように鉄道を敷設する計画を持っているが、今回明らかになった測量の実施はその建設の手始めなのだろう。