赤面疱瘡で世界が一変するという設定は、現代のコロナウイルスを予言しているようだが、それはたまたまだという。よしながふみは「赤面疱瘡」について、このようにも語っている。

「人類の歴史はウイルス感染症との戦いの歴史でもあって。江戸時代には天然痘が幾度となく流行しましたし、近年でいえば、SARSやMERSなどが数年おきに流行して。当時(連載開始前)はエボラ出血熱のアフリカでの流行が記憶に新しかった頃で、そのあたりから発想しました」(P100・「よしながふみ特別ロングインタビュー」より)

田沼意次の失脚により一度は挫折したものの、十一代将軍家斉の政策によって接種が進み、見事赤面疱瘡を克服した。(『大奥』第12巻P194より)田沼意次の失脚により一度は挫折したものの、十一代将軍家斉の政策によって接種が進み、見事赤面疱瘡を克服した(『大奥』第12巻P194より)

 コロナウイルスの流行が長引く現代は、またもや人類とウイルス感染症との戦いの最中だ。先人たちが乗り越えてきたように、今回も必ず乗り越えられると希望を持ちたい。