NHKで2023年10月3日からドラマ10「大奥 Season2」が放送されている。よしながふみによる原作は2021年に完結しており、Season2では「医療篇」「幕末編」として物語のラストまでを実写化する。太陽の地図帖『よしながふみ『大奥』を旅する』(太陽の地図帖編集部編、平凡社)からの引用を交え、コミック版『大奥』の作品世界を紹介する。
◎本稿は、平凡社のWebサイト「Web太陽」に掲載された記事を転載したものです。
『大奥』で男女逆転の世が生まれるきっかけとなったのは、「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」と呼ばれる、男性のみに感染する病気である。
実際の江戸時代では、「疱瘡」とも呼ばれる、天然痘が猛威をふるった。将軍といえどもその魔手から逃れることは難しく、家光も26歳の時、罹患した。『大奥』で赤面疱瘡にかかった家光は亡くなるが、史実では死線をさまよったものの回復している。(P79・竹村誠「赤面疱瘡と、江戸時代に猛威をふるった『疱瘡』」より)
中盤の医療編では、「大奥」が研究チームとなって、赤面疱瘡の解決策を見つけていく姿が描かれる。