日本通といわれる王毅外相は日本に対する厳しい発言を厭わない(写真は2月18日ミュンヘンで、写真:ロイター/アフロ)

 中国の臆面もない「核汚染水」発言は酷かった。

 2回目の処理水放出が10月5日に始まったが、中国はいまだに「地元漁業者や他国の懸念、反対が高まっているにもかかわらず」放出し始めたと批判した。

 幸い中国の言い分を信じる国は少なく、輸入制限・禁止を行う国は中国を含め少数であるが、一時的・短期的にせよ日本に不安と損害を与えていることに変わりはない。

 それに加えて、米韓などの同盟・友好国の対日感情を悪化させて日本の孤立化を図り、対日離間を企図する深謀遠慮が見られる。

 ここでは普段からの対応(反論)や宣伝のありようを問いたい。

国際社会で以心伝心は通用しない

 日本人同士は以心伝心で思いが相手に伝わり、あえて言葉を発しないことが美徳の一つである。

 しかし、国際社会では以心伝心は通用しない。

 ましてや全体主義的国家では指導者たちが確信犯よろしく事実を捻じ曲げるので、いくら指導者や政府に改めるように申し込んだり、遺憾の意を表明してもほとんど効果がない。

 ズバリ相手国の国民に真実が届くように工夫し、ストレートに話すことが重要である。

 日本(人)は和を大切にして相手を傷つけないようにする凹型文化の国であるが、中国が「核汚染水」と言って憚らないように、日本以外のほとんどの国は対立と闘争、征服と復讐などを特徴とする凸型文化とされる。

 日本は中国の言うことが出鱈目だと分かっていながらもストレートに反論せず、「国際基準をクリアしている」「IAEA(国際原子力機関)の検証を受けた」などと奥歯に物が挟まった言い方ばかりである。

 中国国内では言論が厳しく取り締まられるのでほとんどの中国人民をはじめ、世界の多くの国民は分かりやすい発言を信じるに違いない。

 こうした時の反論で「国際基準」や「IAEAの検証」などでは全然パンチが効かない。