記者団に取材に答える鈴木俊一財務相。為替介入の有無については「答えない」と述べた記者団に取材に答える鈴木俊一財務相。為替介入の有無については「答えない」と述べた(写真;共同通信社)

外国為替市場で円安ドル高が進み、為替介入に対する注目が高まっている。10月3日深夜には対ドルの円相場が1ドル150円台から147円台まで急騰する場面があった。為替介入の観測も流れた(政府はコメントせず)が、明治以降の長期で円ドル相場をみると、そこには一般的な為替レート像とは異なる姿が浮かび上がってくる。

(平山 賢一:東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト)

戦前の米ドル高、戦後の米ドル安から「ひと山」越えたか

 為替市場の予測ほど難しいものはない。しかし、その取引規模の大きさから、多くの投機家たちの注目の的になってきたのも事実である。それだけではない。政府は、為替市場の変動により、国民経済が左右されるため、大きな関心を払ってきた。

 時として、為替市場への介入を通して、政府はその変動を抑え込もうともしている。急激な円高も、急速な円安も、市場参加者の需要と供給に加え、期待と不安からブレーキがかからなくなるからである。

 為替レートの変動は行き過ぎなのか? 政府の介入は、流れを変え得るのか?

 われわれは、現在の為替の動きが、長期的に続くのか、それとも短期的な動きなのかを冷静に判断する必要がある。輸出企業の売り上げ見通しを左右するだけでなく、小麦や原油の輸入価格の変化を通した家計の支出にも影響するからである。

 また、NISA制度の拡充を控え、外貨建資産への関心が高まっているだけに、無関心を決め込むわけにはいかない。そこで以下では、長期的な動きを捉えるために、米ドルの対円相場の推移を確認したい。

 長期的な動きを確認するためには、戦後だけに囚われてはいけないはず。そこで、戦前の動きも含めて、外国為替レートの歴史を振り返ってみよう。すると、意外な事実が浮かび上がってくるのである。これまでの為替レート像は、脆くも崩れ去るだろう。