「ライフコーチ」語る「カルト」

 英国では今年4月、「ライフコーチングビジネスを装い」参加者から数十万ポンドともいわれる費用を受け取ったとされる団体についてBBCが詳報した*3

*3A Very British Cult: Inside Lighthouse, the life coaching cult that takes over lives(4月5日付、BBC)

「A Very British Cult」――。まさしく英国的なカルト、とでも訳せる題名の同番組では、「ライトハウス」と呼ばれる団体が参加者に対し「ライフコーチング」を行い彼らの資産を根こそぎ奪ったという疑惑を、関係者の証言などをもとに丹念に描いている。

 同番組によると創設者は南アフリカ育ちの59歳の男。35歳で巨額の資産を築いたと豪語し、「スピリチュアルに満たされた状態に人々を矯正する革命的な」アプローチを開発したとうたっていた。ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットにコネがあるなどとも吹聴していた。

 団体はこれからのキャリアや将来に不安を持つ人や自分を見失いそうになっている人、過去に性的暴行を受けてトラウマを抱えた人、自殺未遂歴があり、うつや不安感を抱えた人などを取り込んだという。心の隙間に言葉巧みに入り込み、受講料と称して多額のコーチング費用を支払わせた手口は、霊感商法やその他のマルチ商法に通じるものがある。

 BBCに顔出しで出演したある被害者は、1年間のコーチング費用として1万ポンド(約180万円)を支払った。コーチングの成果によってビジネスチャンスが広がればすぐにその費用は取り返せるなどと説得され、さらに2万5000ポンドも支払ってしまった。借金をしたり家を手放すなどして、その費用を賄ったその他の人々の事例も並んでいる。