Google本社フランス当局からGDPR違反として5000万ユーロの罰金を科されたGoogle(写真:AP/アフロ)

 本連載では、激動の地政学動向において企業が取り組むべき5つの指針を示している。

 前回の「変化し続ける「パッチワーク型」規制に対応せよ」では、米中・対ロシアで乱立する禁輸・投資規制「リスト」はもはや予見不可能であり、インテリジェンスを含めた体制構築が不可欠であることを述べた。

 今回は、指針3「デジタルの世界も分断が進む。イノベーション進化とどう両立させるか」について語る。

※【米中分断時代の経営論(1)】貿易摩擦から価値観の戦いにシフトした米中対立、経営者はいかに対応すべき
※【米中分断時代の経営論(2)】誰もに降りかかる米中対立の火の粉、対象は先端技術の分野から汎用品まで拡大
※【米中分断時代の経営論(3)】米中・対ロで乱立する禁輸・投資規制、地政学リスクの増加で企業が被る実害

(羽生田慶介:オウルズコンサルティンググループ 代表取締役CEO、
オウルズコンサルティンググループ通商・経済安全保障支援チーム)

世界の「分断」はデジタルにも及ぶ

 現在の世界は「分断」の時代だと言われる。新型コロナウイルス感染症の蔓延、米中対立の激化、ロシアによるウクライナ侵攻などで国家間の価値観の違いがあらわになり、経済のブロック化の原因や政治面での争点となっている。

 また、カーボンニュートラルやエネルギートランジションでの対応で特定の鉱物資源の重要性が高まり、資源ナショナリズムが進行するなど自国第一主義をとる国も目立ってきた。第二次世界大戦後から進められてきた「グローバリゼーション」の様相が変化しつつある。

 かかる「分断」はデジタルの世界でも進む。

 様々な目的でデータを巡る規制が世界各地で生まれつつある。個人情報の保護を目的としたものから、安全保障上の重要データや産業データを国内で囲い込むためのものまで幅広い。

 規制によって国家間のデータの移転が制限される。場合によっては、進出先の国の政府が自社の重要データにアクセスするかもしれない。

 さらに厄介なのは、特にデジタル分野では世界で統一のルールを遵守する見通しが立たないことだ。研究開発はもとより、マーケティングや営業も含む「データの防衛」に新たな思考が必要だ。

 データ規制としてビジネス界にも大きな影響を及ぼした代表例が、2018年に施行された欧州のGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)だ。