(譚 璐美:作家)
新たな十段線を主張する新地図
8月28日、中国自然資源省が「2023年版標準地図」を発表した。
この地図では、従来主張してきた「九段線」に、台湾を囲った線を一本足して「十段線」とし、南シナ海のほとんどすべての海域が含まれている。
また、ヒマラヤ地域では、中国が「南チベット」として領有権を主張するインド北東部のアルナチャルプラデシュ州も中国領として記載されていた。
南シナ海では、以前から中国とアジア諸国との間で領有権を巡って紛争が絶えなかったが、今回、中国が突然「新地図」を発表したことで、国際法無視の中国の言い分に、フィリピンやベトナム、インド、台湾など、東アジアの国々が一斉に反発している。
産経新聞(2023年9月1日付)によれば、8月31日、フィリピンは「中国の主権を正当化しようとする試みで、何の根拠もない」と声明を発表。2016年にオランダ・ハーグで開かれた南シナ海での中国の主権主張を退けた裁定を順守するよう、中国に抗議した。